眼鏡概念

適温探し

毒にも薬にもならない話

いわゆるセレンディピティ的なそれについて

田舎で悶々と考え事をしていると、答えが見つからず泥沼に突っ込んでしまうことが時折ある。都会でもあるのかもしれないが、個人的には田舎の方がそうなる確率が高い。暇だからだろう。ノイズが少ないからだろう。

 

その日も泥沼の中でコミュニティとはなんぞやという答えのない問いと向き合っていた。あまりにも悶々とした瞬間、ある人(以下Mさん)に連絡を入れていた。以下連絡内容より抜粋。

 

「オープンなムラ(コミュニティ)を作りたいんですが、どんなコミュニティだったら入りたいですか?」

 

ちんぷんかんぷんここに極まれり!こんな鼻息高い連絡がいきなり届いたら普通ドン引き即ブロックものだろうが、Mさんはちゃんと相手をしてくれた。それどころかちょうど自身もコミュニティを作ろうとしているところらしかった。LINE上でのやり取りでは全貌を知ることができなかったので、この間帰阪のタイミングに合わせてお時間を頂戴してきた。クソみたいなLINEを送ったにもかかわらず、わざわざお時間作ってもらえてありがたい。

 

時間が限られているということもあり、乾杯して早々に「どんなコミュニティを作るんですか?」と尋ねた。いつもなら本題に入る前にまどろっこしい前置き(天気の話とか)を重ねて結局聞きたいこと聞く前に時間切れになるような性格なので、我ながら思い切ったし、そのくらい切羽詰っていた。

 

コミュニティをつくろうと思ったきっかけ

そもそもすべての出来事は偶然(たまたま)の連続でできている。その偶然を作り出す機会が周りにたくさんあるとおもろい、というのがコミュニティつくろうと思うに至ったきっかけだと言う。「おもろい」というのが関西的で実に素敵。

 

今の自分があるのはたくさんの偶然が生み出した結果以外の何でもない。もっと言うと自分の両親、先祖代々の偶然が積み重なった結果出来上がっている。その一つ一つが意図的であれ無意識であれ、数ある選択肢の中から選ばれた方向に自分が作り上げられている。その中で同じ時間同じ場所にいることは相当に低い確率だし、偶然いたからといって交わるとも限らない。たいていの人とはすれ違うだけで終わってしまう。状況やその時の心境も含め、色々な偶然が重なって話をして、その時やっとつながりが生まれる。そんなことを話していた。

 

初対面の人と接触するのには相当なエネルギーを要する。ましてや初対面の人が多い空間に行くのは相当気合を入れててもやっぱり怖い。勢いで予約はしたものの当日やっぱりやめようかと直前まで会場付近をウロウロするのなんてざらにある。その集団が恐ろしい(なんてことはないんだろうけど)ところだったらどうしようと変にリスクヘッジをしてしまう。でもえいや!っと飛び込んでみたら楽しい偶然に出くわすことが多い。不思議なもんだけど、だいたい今の所そんな感じだ。マラソン大会当日の朝まで学校休みたくてたまらないのに、走り終わってしまえば爽快な気持ちになる感覚に似ている。

 

そういうたまたまに出会えるチャンスを増やすための場所としてコミュニティが必要だというのがMさんの話だった(と勝手に解釈している)。

 

日本酒もすすみ話も弾んできたので、もう少し踏み込んでコミュニティのことを話してきた。対話は悶々としないから良い。そんな話を踏まえて改めて感じたことを、日本酒で流れてない限り備忘録として残しておこうと思う。思うにコミュニティを保つに大事なことは以下の二つにあるような気がする。

 

①拠点を構えること

②各拠点を繋ぐこと

 

他にもあると思うが、日本酒で記憶が流れた。日本酒はおいしい。

 

拠点を構えること

コミュニティを運用していく上でどこかに拠点を構えることが必要で、実際にMさんはいくつかの地域を絞っているようだった。自分が構想しているエリアと重なってなくてなによりだった。古民家のリノベーションや過去イベントで使った町屋スペースが候補に挙がっているとのことだったが、関西も都市部が点々としてるからエリア選定が難しそう。

 

実際に集まる機会があるときに、貸会議室やレンタルスペースを借りてやるのもいいかと思うが何となく味気ない。それだとコミュニティというよりイベントに近い。そこから一歩踏み込んで、常に何かが動いている状態にするにはやっぱり集まる場所は欠かせない。オンライン上のグループでも事足りるかもしれないが、まだ今の所は直接オフライン上のどこかに集まる方が参加者の熱量を高く保てる気がする。

 

イメージは「この指とまれ」に近いが、まずは旗を立てることが大事。

 

各拠点をつなぐこと

拠点を構えることは大事。とはいっても一旦構えてしまうとなかなか動くことができなくなる。そこの中だけで偶然を生み出し続けるのはなかなかどうして難しい。諸行無常の世の中、代謝は必ず起こりうる。そしてその大半は世代交代によるものだと思う。そこに地域の代謝を加えられたらより面白い偶然が生み出せるのでは、と朧げに考えている。

 

アーカイブ作成

ついこの間、コミュニティ・アーカイブに関する本を見つけた。その本は3.11の震災に関するアーカイブを市民交えて作った団体の活動記録に関するものだったが、手法は他のコミュニティにも応用ができそうだ。何をどう残すかはまだまだ考える必要があるが、そもそもの一緒に何かを残す(≒つくる)行為が拠点参加者のモチベーションになりうるし、各拠点のアーカイブを覗くことで他拠点に赴くハードルも下がるはず。

 

・コミュニティ内独自通貨(ポイント)

アーカイブと紐付けて、できたら面白そうだなと思うのが独自通貨の作成。そのコミュニティ内のみで利用可能な仮想通貨を作ってしまいたい。コミュニティ内で獲得することが可能で、獲得した通貨で実際に各拠点の飲食代金だったりイベント参加費用だったりを支払うことができる。(定価より多少安く購入出来る)

 

仮想通貨を得る手段は主にアーカイブへの発信。面白い発信をすることによって、閲覧者からのポイント(いいねやはてなスターみたいなもの)を獲得。そのポイントを通過に交換することができる仕組みだ。付与するためのポイントをどうやって獲得するかはMさんとの話の中では出てきたが、今はまだそこだけに留めておく。とはいえアウトプットをしていて嬉しいのはやっぱり目に見える反応があること。その反応が通過になり、それでイベントに参加できてまたアウトプットができる。そういうサイクルができたら面白いと思う。

 

お金はあくまで信用の尺度でしかないし、1万円を1万円として使えるのはあくまでその共通認識を皆が持っているからだ。そうじゃなかったらただの紙切れでしかないし、もしかしたらただの紙切れになってしまう日も来るかもしれない。話がそれたが、要は共通認識を持てば紙切れも信用の尺度になるし、小さなコミュニティの中であればその共通認識を作り上げることは十分に可能だと考えている。とはいえそれも一つの拠点だけでやるとあまりにも小さすぎるので、各地で使えるような仕組みにしていけたら楽しそう。

 

まずは拠点をつくります

そんなこんなでMさんとの対話は終わった。つくるタイミングはもはや早いに越したことはない段階にきてると思うし、幸いつくれるタイミングでもあるので早くつくってしまいたい。のと同時に、Mさんのところ含め面白そうな各拠点を徐々に見つけていきたい。みたいなことは日本酒を飲んでも流れなかったので、やろうと思います。